「こいつ、自立できねーのかよ!」
ということでした。
下調べが足りなかったと言われればその通りなのですが、だってだって、ドールを掲載してる方のブログを拝見すると見るからに自立してるじゃないですか。
そう思って色々調べてみると、え、何? 実はスタンドで支えてるけれど上手に見えない角度から撮影してる? フォトショで消してる? そんなぁ……身も蓋もない……。
中にはガチで自立させている方もいらっしゃいましたが、やはりポージングは限られてくるようで。
まあなんにせよ、自立は限りなく難しいということは良く分かりましたので、仕方ない、スタンドを買うか……って高っ! クッソちゃっちいプラスチック製のスタンドで4000円だと!? こんなもん買うくらいだったら立たせなくていいわ。うちの子は常にお座り状態でいてもらいますわ。
なーんて強がってはみたものの、やっぱり常にお座りの写真しかないというのもさみしいですよね。かといって、スタンドに何千円も費やす気にはなれません。
という訳で、ドールのスタンドを自作するお話。
自作するにあたって、いくつか自分なりに条件をば。
・見苦しくない程度のクオリティは欲しい
メインではないとはいえ、ドールと一緒に飾ったり写真に写ったりするものですから、それなりに小奇麗な出来栄えであってほしいですよね。正直、立たせるだけであれば、割り箸(支柱)を発泡スチロールトレイ(台座)に突き刺して、大きめの洗濯ばさみ(保持具)をくっつければ良いわけですが、さすがにそれはちょっと、と誰しも思うことでしょう。可愛い我が娘をディスプレイするわけですから、あんまり貧乏くさいのはNGです(実際貧乏なんですが)。
・支柱は伸縮し、保持具は交換できるようにしたい
スタンドにもいろいろあり、ざっと調べただけでも、もものあたりを支えるタイプから、自転車のサドルの様にまたがるタイプ、腰をはさむタイプなどがあるようです。ドールのポーズと角度によって使い分けができた方が良いので、支柱部分は伸縮し、保持具部分は簡単に取り換えられるのが好ましいかと。何種類かスタンドを用意して使い分けてもいいんですが、どこかへ持ち出すことを考えた場合、一つのスタンドを色々使いまわせた方がベターでしょう。
・安く上げたい
この条件がクリアできなければ本末転倒です。どれだけかかっても1000円くらいで収めたいところ。
そしてそのために付随して発生した条件が、次の項目です。
・工具は出来るだけ買わない
はっきり言って、工具を買えばいくらでもやりようなんて有るんです。極端なたとえですが、頑丈なステンレス管をプレス機で曲げ加工して、鏡面仕上げした平滑な台座にTIG溶接でくっつけて……ですが、普通のご家庭にはプレス機もTIGも有りませんし、まさかこれらを揃えるとなったら、既製品のスタンドが何百個と買えてしまいます。この例はあまりにも極端すぎましたが、現実的に考えましても、今回のようなスタンドなんて一つ二つ作ればもうお終いですから、そのためだけに工具を買うというのはいかにも無駄が大きすぎます。
場合によっては工具がないとどうしようもないということだってあるでしょうが(ドールのメイクなんてまさに)、それは最後の手段、まずは自前の工具(と、それを前提とした材料選び)で創意工夫してみてから! ということで、今回はどこの家庭にもあるような最低限の工具で作れないかというシバリ(?)のもと挑戦してみました。
さて、それでは素材探しに街へと繰り出しましょう。
今回用意したのは、100円均一で購入したこれです。
Fig.1 支柱として選んだ指し棒
指し棒!
最近ではレーザーポインタの潮流に押されてほとんど見かけなくなりましたが、コイツはまさに支柱にするために生まれてきたような形じゃないですか(違います)。
まず銀色のボディが良いですよね。主張しすぎず、ノーブルな雰囲気です。そしてもう一つうれしいのが、細いことです。流石100円均一クオリティ、太くてしっかりとした指し棒ではありませんが、今回はむしろ好都合です。スタンドの支柱があまりに太すぎては無粋ですから、この細さは大歓迎です。更にさらにうれしいのが、クリップが付いているところ! スタンドを作るにあたってクリップ自体には何の使い道もありませんが、こういうクリップは大抵、ねじ式キャップで固定してあるんです。ほら!(Fig.2-3)
Fig.2 クリップ部拡大
Fig.3 クリップ部分解。真ん中のクリップは使い道がないので捨てます
つまり、台座に穴を開けて、指し棒とネジで挟み込めばいともたやすく支柱を台座に固定できるということです。
実は今回ネックになっていたのは、支柱をどうやって台座に固定するか、でした。ボンドでの接着は仕上がりのきれいさと、耐久性に疑問があり、できればやりたくありませんでした。ホームセンターで金属パイプを買ってきてタップでねじ山切れば解決しますが、そうすると支柱を伸縮させるために一工夫必要になってきます。
ですが、この指し棒があれば、そんなことでいちいち考える必要は無いのです!ハラショー
さて、次に台座です。
できるだけスマートな見た目にしたいので、台座にもこだわりたいですよね。木製プレートなんておしゃれで素敵、しかもホームセンターで500円以下で売ってて魅力的なんですが、指示棒の固定が少し面倒です。穴をあけるのは簡単でしょうが、裏面がまっ平らなので、そのまま支柱をネジ止めするとネジの部分が出っ張ってしまいます。というかそれ以前に、厚みがあり過ぎてネジが届きません。裏側が肉盗みしてあって凹になっているプレートというのがあれば良いんですが、そう都合の良いものは見つかりませんでした。ですので、どうしても木製プレートを使いたい場合は座ぐりドリルで削ることになると思いますが……はい、持ってないんです、座ぐりドリル。ということで、とりあえずはもっと楽な方法がないかを考えることにしましょう。
裏側がえぐれてて、表側は平ら……そう、たとえばインスタントコーヒーのふたみたいなやつです。とはいえ、まんまコーヒーのふたでは大きすぎますし、第一、UCCとかNestleとか書いてあってお世辞にも格好いいとは言えません。
いいものないかなぁ、と思っていると、有りました有りました。コレクションケースです。上にかぶさっているアクリルのカバーは今回必要なく、欲しいのは下の黒い台座だけ。少し厚みがあるけれど裏面はちゃんと抉れてるし、もうこれしかない!
Fig.4 100円均一のコレクションケース。二種類売っていたのでとりあえず両方購入
Fig.5 ドールと一緒に撮影。こういうの、憧れてたんですよね~
Fig.6台座裏面。
Fig.4-5で二種類のコレクションボックスが有りますが、実際に使ったのは右側のものでした。これは、右側の方が面積が大きかったため、というのがまず一つです。厚みは左側の方が薄く、よりスマートな仕上がりになると思ったのですが、今回、スタンドを安定させるために(後述しますが)内部に重石を仕込むことを考えていまして、そのためにはやや厚ぼったくなりますが、十分なスペースの確保できる右側が良いと結論しました。
それと、大事なのがドールと接触する保持具ですね。こればかりは売り物でどうこうなる感じではなかったので、自宅にあったステンレス管(外径1mm)を買ってきて曲げることにしました。針金ハンガーをばらしてもよかったんですが、意外と太くて指し棒の中に押し込むには難儀ということでやめておきました。
ではレッツ工作。
まずは熱収縮チューブをステン管に差し込み、適当に曲げましょう。チューブを収縮させるタイミングですが、今回は完全に曲げ終わってから収縮させました。先に収縮させて曲げると、鋭角部分でチューブにストレスがかかる恐れがあったので。
Fig.7 熱収縮チューブ(収縮前太さ2mm)
今回は幸い、末端は支柱(指し棒)の中に差し込む計画ですので、一筆書きで形を作っていきます。こんな風に。
Fig.8 サドル型保持具
ステンレス管が余ったので、ももの部分を支える保持具も作ってみました。
Fig.9 もも部保持具
Fig.10 ステンレス管曲げ加工
チューブを買うのが面倒くさいって人は、布のきれはしとか、ラップとか被せれば良いんじゃないですかね? どうせ見えないところですし。
続いて、指し棒の先をカットします。この指し棒は伸長60cm、DDの支えには充分すぎというか、もてあまします。指し棒はその構造上先端に行くほど細くなりますから、先ほど作った保持具が中に入る太さの段で切断します。力任せにニッパーで切断すると、パイプがつぶれますからご注意を(つぶれても、ペンチで形を整えればいいんですが)。私はニッパーで軽く挟み、ぐりぐりと周囲に傷をつけて、手でパキッと折りました。
え、パイプカッターっていう道具があるって?
バカにしないでくれる? 知ってるわよそれくらい!
でも、持ってないんですもんパイプカッター。
さすがにニッパー(最低限ペンチ)くらいはどこの家庭にもあると思いますが、それすらないという家でもさすがにハサミはあるでしょうから、ハサミの根元部分で傷をつければ何とかなります。ただ、ハサミの刃はダメになると思います。
ま、それは良いとして、カットした先端は結構ギザギザしています。構造上この部分がドールに触れることはほぼないはずなんですが、気になるので、電気工作で使うギボシ端子のカバーを被せてみました。
Fig.11 支柱先端部
次は台座に穴をあけましょう。好きな位置に穴を穿ちます。バリが出るので適当にカッターで綺麗にしました(どうせ隠れる場所なので)。
本当はピンバイスで開ければ良いんですが(さすがにピンバイスは持ってます)、しばらく使っていないうちにどこかへ行ってしまって見当たらなかったので、とりあえずアイスピックで下穴をあけ、プラスドライバーを突っ込んで無理やり拡張しました。
Fig.12 支柱差し込み穴
Fig.13 Fig.3の指し棒とネジで台座を挟み、支柱を固定
また、この台座は軽すぎてそのままではひっくり返る恐れがあったため、台座の中に重りを仕込みます。
今回重りに使うのはこれ。その昔、たまたまコカコーラの自販機で金の缶が当たったことがありまして、その時中に入っていた重石です。
Fig.14 重石
Fig.15 重石固定
両面テープでぺたりと貼り付けました。
コカコーラの自販機で金の缶なんて当たったことねーよ! という方は、ホームセンターやカー用品店で鉛シートを買ってきて張れば良いと思います。
そして、支柱に保持具をセットすれば……
Fig.16 サドル型台座完成
完成!
早速試してみましょう。
Fig.17 サドル型台座使用例
どんなもんじゃーい!!
保持具を取り変えて、支柱の長さを調整すればもも部分で支えることもできます。
Fig.18 太もも用保持具に交換
・指し棒を支柱にしたスタンドは成功裡に終わったといえると思います。
・材料はともかく、工具に関しては基本的に大半の家庭にあるようなもので済ませることが出来ました。
・台座部の大きさは、約9 cm x 9 cmで、大人しいポーズで(足を揃えた恰好で)あれば台座の上にドールも収まります。動きのあるポーズを取らせたい場合、台座が邪魔になるので保持具の向きを180度回転させればいいでしょう。
・指し棒は、多分いずれ壊れます。触った感じ結構華奢なので。それでも一本100円ですからそれは割りきってます。
ちなみに、今回かかった費用は
指し棒 100円
台座 100円
熱収縮チューブ 150円
ステンレス管 0円
重石 0円
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合計 350円
という感じで、スタンドは無事に安く収めることが出来ました。
自宅に既にあったステンレス管を使っていることも安く上がった要因の一つでしょうが、仮に購入したとしても1000円をオーバーすることはないと思います。
ちなみに、支柱に被せたギボシ端子は、もともと車の電装系をいじるために買ったものを流用しているので実質0円なのですが、一応値段を載せておくと、大量に入って150円でした。
次回のために
現状で満足しているので改良する気はありませんが、いじるとすれば台座でしょうか。木製は飾るときにいかにも高級感がありますし、他のドールオーナーの方の書き込みを拝見すると、透明な台座が結構重宝するようです。
透明な台座ですが、こればっかりは工具を買って加工するしかないかもしれません。いかにも台座向きな感じの、90φx数mmという円形アクリルは売っていますので、ドリルで穴を開ければ支柱も立つでしょう。その場合、ネジ山の出っ張り分を吸収するため、裏面の穴周辺はテーパをつけ、ネジの側も皿ネジに変更することで底面の出っ張りを解消する工夫が必要でしょうが。
でもそれじゃあまりにも芸がないですよねぇ。なにかもっと手頃な材料でできないものか、考えてみたいと思います。
そうそうそれと、100円均一を見ていて、小物入れ用の缶のふたも使えそうだと感じました。あとは、瓶のふたとか。特に缶はカラフルな着色がしてある物が多いのでドールの雰囲気に合わせるのも面白いかもしれません。
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