2014年9月15日月曜日

月とドール

さる9月9日はスーパームーンでしたね。

ということでドールと撮影……したにはしたんですけど……まあ、死蔵するのもアレなんで、とりあえず放流します、というお話。





上の写真は、月光に浮かび上がるちふみちゃんを撮影したつもりなのですが、ディスプレイ環境によってはただの黒い画像にしか見えないかもしれません。ごめんなさい(上の写真に限らず、本記事の写真はクリックして原寸大でご覧いただくと多少良いと思います)。



皆さん、ミュシャという画家(デザイナー)をご存知でしょうか? チェコ出身の画家であるミュシャは宝石や花といったモチーフを擬人化したイラストを多く残しており、月も例にもれず作品になっています。

今回写真を撮る上でイメージしたのは、そんなミュシャの4連作「月と星」です。ちなみに、こういうやつです。どうでもいいですが、このポストカードは新潟にミュシャ展がやってきたときにお土産屋さんで購入しました。


Fig.1 ミュシャ作 「月と星」より「月」



月を背後にかまえ、逆光気味に姿が浮かび上がるというイメージですね。

こういったイメージをかたちにするために必要なのは、望遠レンズです。広角や標準レンズでは月はコメ粒程度にしか映りませんが、望遠レンズの圧縮効果を持ってすれば、「悪魔城ドラキュラ」的な大迫力の絵が撮れるはずです。


そういうことで早速ドールと三脚とカメラを持って撮影です。ちなみに撮影場所は自宅のベランダです。


さて、話を引き延ばして皆さんの期待を高めてもアレなので早々に結論を申しますと、うまくいきませんでした。

というのも、この日は帰りが遅くなってしまい、撮影開始時点ですでに月はかなり高い位置まで登ってしまっていました。望遠レンズを使って月とドールを同じショットに収めるためには、両者がほぼ一直線上に並ばないと困ります。ということで、めちゃめちゃローアングルから何とか撮ったのがこちら

Fig.2 月とちふみちゃん



一見正面から撮れているように見えますが、実は斜め下から見上げるように撮っています。ちふみちゃんは髪が短いので、多少前のめりになってもばれないおかげで、それなりの構図になっています。

それにしても、ゴーストがうざい! 日中のゴーストは嫌いじゃないのですが、夜のゴーストは不自然なことこの上ありません。また、月の光が思った以上に強烈で、逆光になってしまいました。

ならばあえて逆光を活かして、ということで撮ったのがFig.2です。


Fig.3 逆光を活かしシルエットで



……やりたかったことは分かる、でも残念な出来だね、って感じでしょうか。一枚だけだとさみしいので、もう一枚。


Fig.4 月を見上げるちふみちゃん



ということで、今回の反省

1. 構図にもよるが、月が地平線から顔を出したくらいの時間から撮影に取り掛かる。

言うまでもありません。多少の高低はドールを台に乗せたり、自分が屈んだりで対策できますが、月が見上げるくらいの高さまで登ってしまったらもうどうしようもありません。また、月ののぼるスピードは思った以上に早いので、余裕を持って構図を決めるためにも早め早めのアクションが大事だと痛感しました。


2. 望遠200mmはちょっと短い。月を大迫力で見せたいなら、300~400mmは欲しい印象。

200mmでは正直、迫力は今一つです。今回ボディは70Dなので換算320mm相当ですが、それでもFig.5がやっとです。それこそミュシャの「月と星」を再現するには400mmレベルの望遠+
APS-Cセンサ(換算640mm)くらいが必要かもしれません(Fig.4で月が大きく見えるのは、単に月にフォーカスが合っていないのでぼやけているからです)。って、そんなお金ないよ!(テレコンという手がありますが)


Fig.5 320mm相当での月撮影(APS-Cセンサで200mm)



3. ドールともっと距離を取って撮影したい。

上の項目2と関連してですが、ドールをカメラから遠くに配すれば、おのずと小さく写るようになり、相対的に月の大きさが強調されるはずです(現像時トリミングすることになりますがそれは妥協するとして)。今回は斜め下からの撮影ということもあって思うようにドールと距離をとることができず、ほぼ最短撮影距離となってしまいました。真横方向から狙うのであれば比較的自由に距離を取れるはずです。



4. ゴースト・フレア対策を。

月だから、ということでなめていました。思った以上に月、明るいです。今回の撮影ではさんざんゴーストに悩まされました。いっそフィルターを外してしまえばいいのかもしれませんが、精神衛生上それはちょっと……というところでもあります。




・ドールと月、両方を綺麗に写すために

最後に、以上を踏まえ、ミュシャの「月と星」を再現するためにはどうすればいいかを考えます。


まず、上でも書きましたが、月は思った以上に明るいです。普通の星空を撮るつもりでいると簡単に白とびします。たとえば月面の模様を捉えたFig.5は、F8、ISO100という光を絞った条件でもなお、SSは1/500まで短くする必要がありました。一方、この条件でドールを写せば当然真っ暗のシルエットしか写らないでしょうから、スピードライトを併用する必要がありそうです。しかしその場合、スピードライトの有効範囲がネックになります。上記項目3でも触れました通り、ドールはできるだけカメラと離して撮影したいのですが、あまり離れすぎるとスピードライトの光が届かなくなる可能性があります。また、併せて被写界深度の問題も考えなくてはなりません。月面を綺麗に撮りたいならフォーカスは無限遠に合わせる必要があります。一方ドールにもピントを合わせるためには、ドールはできるだけカメラから離し、被写界深度に入るよう位置を合わせなくてはなりません。F値はできるだけ絞り、被写界深度を稼ぎます。実際に試してみないと分かりませんが、この状況で、カメラ内蔵の照射光は届くのでしょうか……?
もちろん届けばそれでよし、駄目ならスレーブ動作が可能な外付けのスピードライトを駆使する必要がありそうです。特に外付けスピードライトで照射角度を調整できるモデルであれば、ドールのみに狙って光を当てることもできるでしょうから余計な背景が照らされることを防げるかもしれませんね。
あるいは減光フィルターで露出時間を思いっきり延ばし、その間に懐中電灯を使ってドールに光を当ててやるとか……でしょうか。

これ以上は実際に試してみないことには何とも言えないところですが、次に備えて一応メモという形で残しておこうと思います。


さぁて、もう反省は十分でしょう! 次のチャンスはいつですか?




……えっ、来年?

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